ギャンブルと税

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しっておくべき制度と用語

ギャンブルと税

2016.05.12
税務

最近、相次いで若いスポーツ選手が違法賭博で逮捕された。今国会でも「カジノを中心とする統合型リゾート施設(IR)整備推進法案」が提出されているが、成立は難しいようだ。当分、カジノ好きの人が日本国内で合法的に楽しむのは無理そうである。

 ところで、違法合法を問わず、ギャンブルの儲けに対して税金を払ったという人を身近で聞いたことはない。ギャンブルの儲けには課税されないと思っている人も多いのではなかろうか。しかし、そんなことは全くなく、宝くじなど当せん金付証票法で非課税とされているもの以外、しっかりと課税される。だから、もし逮捕されたスポーツ選手が違法ギャンブルで儲けていれば、刑法違反のみならず、申告漏れもしくは脱税に問われることもあり得るのだ。

 では、具体的な課税関係はどのようになるのだろうか。

 まず、ギャンブルを職業としてやっている人は、事業所得として申告・納税が必要である。そんな奴いるか!と思うかもしれないが、世の中にはパチプロというものが存在する。プロ雀士というものもいるが、彼らはギャンブルで生活しているわけではない。しかし、パチプロはもろにギャンブルで生計を建てているから、ギャンブルの稼ぎが当然に事業所得である。昔、釘師サブやんという釘師とパチプロの熱い闘いを書いた漫画があったが、あの漫画に出てきたパチプロ達も確定申告をしていたのだろうか。玉を買う代金は仕入になるのだろうが、他の経費はあまり認められそうも無い。最も凄腕のパチプロはいつも玉を1個しか買わなかったから、結構な納税になっていそうである。

 通常の人の場合、例えば、趣味で競馬をやっているとか、その程度であれば、一時所得として申告することになる。一時所得の計算式は、以下のとおりである。

 所得=総収入金額-収入を得るために支出した金額-特別控除(最高50万円)

 収入を得るために支出した金額、というのが曖昧であるが、一時所得の場合、その収入を生じた行為をするため、又は、その収入を生じた原因の発生に伴い、直接要した金額に限る、とされている。つまり、その当たった馬券を買った費用は経費になるものの、その他、いくらハズレ馬券を買っていても経費にならないのである。一見、50万円の特別控除があるので、一時所得課税は有利のようであるが、大量に馬券を買う人なら、雑所得として申告するべきかもしれない。

 2015年3月10日、最高裁は、国税庁から5億7千万円の追徴課税を受けていた大阪の会社員に対して、会社員の主張を認め、所得税額を5200万円に減額した。競馬の儲けを雑所得として認め、ハズレ馬券の購入費までも経費として認めた画期的な判決である。ただし、そのためには、あくまで馬券の購入に事業性が認められないといけないし、経費も支出を証明できないといけない。全ての人が雑所得としてハズレ馬券まで経費にできるわけではないので、注意が必要だ。

 もし、事業性が認められるほど競馬にのめり込んでいるのなら、むしろ、事業所得として青色申告をしたほうが良いかもしれない。雑所得では、ハズレ馬券を経費として取れるとしても1年分であるが、青色申告であれば、赤字の年の損失を翌年に繰り越すことができるからだ。おそらく、今まで馬券購入業で青色申告している人はいないと思うので、本当に青色申告が認められるのか、定かではないが・・・・・

 

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2016.05.12

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