新規設立法人の納税義務判定
2016.03.30
税務
昨今の消費税の改正により、新設法人の資本金等の額が1,000万円未満である場合でも、消費税の納税義務が免除されないケースが増えている。 法人を新設した場合には、下記の場合に消費税の課税事業者となるため、それぞれの要件を正確におさえることが重要である。
1. 課税事業者選択届出書の提出による免除の特例(消法9④)
事業を開始した日の属する課税期間において、納税地の所轄税務署長に「課税事業者選択届出書」を提出した場合には、その提出した日の属する課税期間以後の課税期間中に国内において行った課税資産の譲渡等については、納税義務は免除されない。 これは、自ら課税事業者を選択しているため、当然に、課税事業者となる。
2. 特定期間における課税売上高による納税義務の免除の特例(消法9の2①・④)
特定期間における課税売上高が1,000万円を超えるときは、その事業年度中に国内において行った課税資産の譲渡等については、納税義務は免除されない。 ただし、給与等の支払額が1,000万円を超えていない場合には、免税事業者と判定することができる。 当該規定は、平成23年度税制改正により、課税の適正化の観点から導入された。
【特定期間】
■その事業年度の前事業年度がある法人:その事業年度の前事業年度開始の日以後6月の期間 ※前事業年度が7月以下であるものを除く
■その事業年度の前事業年度が7月以下である法人:その事業年度の前々事業年度開始の日以後6月の期間
3. 新設合併があった場合の納税義務の免除の特例(消法11③・④)
①設立事業年度 新設合併があった場合において、基準期間に対応する期間におけるいずれかの被合併法人の課税売上高が1,000万円を超える場合には、その合併法人のその設立事業年度中に国内において行った課税資産の譲渡等については、納税義務は免除されない。
②設立事業年度の翌事業年度以後 その事業年度開始の日の2年前の日からその事業年度開始の日の前日までの間に新設合併があった場合において、合併法人の基準期間における課税売上高が1,000万円以下である場合においても、合併法人の基準期間における課税売上高(年換算しない金額)と基準期間に対応する期間における各被合併法人の課税売上高の合計額が1,000万円を超える場合には、その合併法人のその事業年度中に国内において行った課税資産の譲渡等については、納税義務は免除されない。
4. 新設分割があった場合の納税義務の免除の特例(消法12①・②・③)
①分割事業年度 分割等があった場合において、基準期間に対応する期間におけるいずれかの新設分割親法人の課税売上高が1,000万円を超える場合には、その新設分割子法人のその分割等があった日からその事業年度終了の日までの間に国内において行った課税資産の譲渡等については、納税義務は免除されない。
②分割事業年度の翌事業年度 その事業年度開始の日の1年前の日の前日からその事業年度開始の日の前日までの間に分割等があった場合において、基準期間に対応する期間におけるいずれかの新設分割親法人の課税売上高が1,000万円を超える場合には、その新設分割子法人のその事業年度中に国内において行った課税資産の譲渡等については、納税義務は免除されない。
③分割事業年度の翌々事業年度以後 その事業年度開始の日の1年前の日の前々日以前に分割等があった場合において、新設分割子法人の基準期間における課税売上高が1,000万円以下である場合においても、新設分割子法人の基準期間における課税売上高と、基準期間に対応する期間における新設分割親法人の課税売上高の合計金額が1,000万円を超える場合には、その新設分割子法人のその事業年度中に国内において行った課税資産の譲渡等については、納税義務は免除されない。 なお、新設分割親法人が2以上ある場合には、この規定は適用されない。
5. 基準期間がない法人の納税義務の免除の特例(消法12の2①)
その事業年度の基準期間がない法人のうち、その事業年度開始の日における資本金額又は出資金額が1,000万円以上である法人の、基準期間がない事業年度に含まれる各課税期間中に国内において行った課税資産の譲渡等については、納税義務は免除されない。
6. 特定新規設立法人の納税義務の免除の特例(消法12の3)
資本金1,000万円未満の新規設立法人に関する免税点制度について、5億円超の課税売上高を有する事業者が直接又は間接的に支配(50%超出資)する法人を設立した場合には、その設立された法人の設立当初2年間については、資本金1,000万円以上の新設法人と同様に納税義務が免除されない。 当該制度は平成25年度改正に導入され、平成26年4月1日以後に設立される法人に摘要される。
2016.03.30