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しっておくべき制度と用語

株式価額の評価方法

2019.07.30
しっておくべき制度と用語

M&Aで株式譲渡を行う場合、その譲渡金額がいくらであるかは、会社の売手・買手双方にとって非常に重要な問題である。 高く売りたい売手と、安く買いたい買手は、M&A仲介業者を介して交渉し、最終的な金額を決めていくのが一般的な流れであるが、その金額にはある程度の“妥当性”が必要となる。

 

株式の譲渡金額の評価方法は「時価純資産価額法」「DCF法」「類似業種比準法」「配当還元法」…など多く存在する。どの評価方法によって算出するのが自社にとってメリットがあるのかは、ケースバイケースであるので、経験豊富で信頼できるアドバイザーをつけるのをお勧めする。

 

ところで、M&Aにおける株式譲渡価格の決め方は法律で定められているものではないが、 相続や贈与等で株式が移転する場合は、相続税法に従って株価の評価を行い、一定のルールで納税を行う必要がある。M&Aにおける株式評価の手法のうち、「類似業種比準法」「配当還元法」「時価純資産価額法」などは相続税法に基づく評価とも、根底の考え方は同様であるため、相続税における株式評価の考え方について、簡単に紹介する。

 

国税庁が公表する「財産評価基本通達」に株式の評価方法について具体的方針に定めているが、株式の性質上、評価方法は大きく2つに分けて考えることができ、上場株式と非上場株式に区分できる。

 

上場株式の評価方法(基本通達169)

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財産評価基本通達169 抜粋
上場株式の評価は、次に掲げる区分に従い、それぞれ次に掲げるところによる。
(1) (2)に該当しない上場株式の価額は、その株式が上場されている金融商品取引所の公表する課税時期の最終価格によって評価する。ただし、その最終価格が課税時期の属する月以前3か月間の毎日の最終価格の各月ごとの平均額のうち最も低い価額を超える場合には、その最も低い価額によって評価する。

(2) 負担付贈与又は個人間の対価を伴う取引により取得した上場株式の価額は、その株式が上場されている金融商品取引所の公表する課税時期の最終価格によって評価する。

 

上場株式の評価は市場価格をもとに評価額を決定できるため、初めて相続を経験する方にとっては非上場株式の評価と比べてイメージしやすい。4種類の株価、つまり①相続開始日の終値②相続開始日の月の取引日ごとの終値の平均額③相続開始日の月の前月の取引日ごとの終値の平均額④相続開始日の月の前々月の取引日ごとの終値の平均額、のうち最も低いもの(最も有利なもの)を採用すればよい。

 

 

 非上場株式の評価方法

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中小企業の株式など上場していない株式は上記のような市場価格がないため、会社の財務状況から株価を評価することになる。財産評価基本通達の178から196に評価方法の仕方が定められており、以下3つの方法が規定されている。

1. 純資産価額方式:会社が保有している資産価値(時価)に着目した方法
2. 類似業種比準方式:上場されている類似業種の会社の株価から比準して算定する方式
3. 配当還元方式:会社から支払われる配当金額に着目して算定する方式

 

上記評価方法のうち1と2が「原則的評価方式」といわれ、3が「特例的評価方式」といわれる。どの方式を採用するかは、会社自体の規模や株主の会社への影響力の違いによって異なる。国税庁ホームページに公開されている「取引相場のない株式(出資)の評価明細書」を使用すると、手順に沿って比較的容易に株価の算定ができるようになっている。

 

 

株主の影響力による評価方法の違いについては、例えば、被相続人がオーナー(同族株主)であり会社に影響力を及ぼす株主である場合は原則的評価方式を用い、従業員や得意先等支配力を持たない株主が被相続人である場合は配当還元方式を用いる。そして一般的には原則的評価方式よりも配当還元方式の方が評価額は低くなる。

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2019.07.30

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