死亡した人の予定納税・中間申告
2020.02.28
しっておくべき制度と用語
身内が亡くなった際には、葬儀を終えたのも束の間、たくさんの手続きを目の前に「何から手をつければいいのか分からない」と途方にくれる人は多い。
税務だけでも準確定申告、相続税申告など煩雑な税務の手続きが連続するため、相続人は故人を悼む時間もないほどである。
今回は、死亡した人の予定納税・中間申告について解説する。
死亡した身内あてに、税務署から「予定納税」「中間申告」の通知がきていないか、まずは確認してほしい。
亡くなった日がいつであるのかによって、所得税・消費税の予定納税・中間納税義務は異なるので、迷った場合は以下を参考にしてほしい。
故人の所得税予定納税
そもそも所得税の予定納税とは、前年の所得税額を基準に本年の所得税の前払いとして支払う性質のもので、前年の予定納税基準額(前年の所得から譲渡所得や一時所得、雑所得、退職所得等を除いたもの)が15万円以上である場合にのみ発生する。なお、この判定は5月15日時点で行われ、予定納税が必要な者には6月15日までに通知が行く仕組みとなっている。
所得税の予定納税の納期限と納税義務の成立日は以下の通りである。
予定納税の納期限:第1期分 7月31日
第2期分 11月30日
納税義務の成立日: 6月30日を経過する日
(特別農業所得者の場合はその年の10月31日を経過する日)
所得税の予定納税は『自動確定の国税』と呼ばれ、納税義務の成立と同時に納付額が自動的に決定される。
亡くなったのが上半期(1月~6月)である場合
納税義務が成立していないため、相続人は故人の予定納税の支払い義務はない。税務署から予定納税の通知がきている場合は、税務署に連絡することでその予定納税は取り消される。
亡くなったのが下半期(7月~12月)である場合
納税義務が成立しているため、相続人が納税義務を継承することになる。第1期分 (7月31日納期限)、第2期分 (11月30日納期限)の納付書がある場合は、相続人が納税をする必要がある。
ここで納付した予定納税額は亡くなった方の準確定申告で控除することができる。
故人の消費税中間申告
消費税にも中間申告という制度が存在し、昨年収めた消費税年税額に応じて、1回・3回・11回の中間申告が必要になるケースがある。
中間申告が必要な個人事業主が亡くなった場合は、中間申告の義務をそのまま相続人が継承するわけではない。(消費税基本通達15-11)
中間申告期限前に亡くなったのであれば、相続人は故人の中間申告について気に掛ける必要はなく、故人の亡くなった年の消費税確定申告を亡くなったことを知った日から4月以内に行えばよい。(いわゆる消費税の準確定申告)
ただ、亡くなった日が、その故人の消費税中間申告期限を経過している場合は、納税義務が成立しているため、相続人がその中間申告の義務を引継ぎ、納税をする必要があるので、ここでも亡くなった日付には注意が必要である。(消費税法第59条)
尚、所得税と同様に、ここで納めた中間納税額は消費税の準確定申告で控除することができる。
2020.02.28